蘇りのウタ
カケルはテーブルの椅子に座り、テーブルの木目をジッと見つめた。


「この森は、数千人程度が集まるちょっとした村だったんだ」


「ここが村?」


あたしは驚いて聞き返していた。


こんなに大きな森に昔人がいたなんて思ってもいないことだった。


「俺も祖父から聞いた話だから詳しくはわからない。けれど、この村は空襲の被害を受けたんだ。小さな村は圧倒間に炎に包まれて沢山の人が死んだ」


学校の授業で習った戦争の出来事を思い出す。


あちこちが真っ赤な炎に包まれ、一瞬にして沢山の命が奪われる悲惨な歴史。


それが、この森にもあると言うのだ。


「だけど、この村は小さかった。人々はもっと大きな都市の復旧に駆り出され、誰もこの村を復旧させようとはしなかったんだ。だけど、忘れたワケじゃなかった。この土地でも沢山の人が亡くなったことはみんなが知っていた。


だから、復旧させるのではなく、森に戻す計画が出たんだ」


「どうして、森に戻す計画が出たの?」
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