蘇りのウタ
「なんだよ、それ……。どうしようもないじゃんか……」


和希は苦しむように呟く。


「アレに出合わないように森から出る方法はあるの?」


聞くと、カケルはゆっくりと、左右に首をふった。


「わからない」


「じゃぁ、もし次出合ってしまったらどうすればいい?」


「今みたいに全力で逃げる。それか……」


そこまで言い、カケルは口を閉じた。


天井を見上げて泣きそうな顔をしている。


「それか、なに?」


「……最後の手段になった時に、言う」


カケルはそう言うと、黙り込んでしまったのだった。
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