蘇りのウタ
なぜ俺がそんな方法を知っているのかという疑問は、創吾にとって二の次になっている。


「生贄を1人捧げる事」


「生贄……?」


「あぁ。骨人間は動物や人間を次々と襲う。だけど、自分たちから1人を差し出せば収まるんだ」


それは一時しのぎにしかならないという部分は伏せておいた。


多数の動物や人間が死ぬことと、たった1人を生贄にすること。


考えなくてもどちらがいいかはわかるだろう。


「それは本当なのか?」


俺は頷き、この森でいくつかの骨を見つけたと伝えた。


あれはきっと生贄用の骨だったのだと、嘘をついた。


骨なんて見ていない。


だけどそう言う事で、混乱している創吾は更に俺の言葉を信用した。


「だけど生贄なんて、一体どうやったらいいんだ?」


「この中の誰か1人を小屋に残して行くんだ。幸い、ロープなどの道具は小屋の中にある」


食料と共に保管されていたロープや懐中電灯。


それがこんな形で役立つとは思わなかった。
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