蘇りのウタ
あたしは咄嗟に両耳を塞いでこの声をかき消した。


嘘だ。


嘘だ、嘘だ、嘘だ!


なんで、こんなことになっているのか頭がついていかない。


和希とカケルも、その場で茫然と立ち尽くしているだけだった。


「……生贄」


そんな声が聞こえて来た気がして、あたしは耳を離してカケルを見た。


「今、なんて言ったの?」


「これは生贄だ」


カケルがハッキリとした口調で言った。


「生贄……?」


「あぁ。骨人間たちに自分から生贄を捧げれば、その場で他の人間が攻撃されることはなくなるんだ。


その事に気が付いて、真琴を生贄に差し出して他の連中は逃げたんだ」


カケルの説明に目の前から色がなくなった。


葉の緑も、木漏れ日も、すべては灰色に変わる。
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