蘇りのウタ
「幸弘たちがそんな事をしたっていうの?」


小屋から這い出て来た菜摘がカケルへ向けてそう言った。


「その可能性は高い」


「嘘はやめてよ!」


菜摘は目の前の状況を否定し、強く頭を振っている。


あたしも同じ気持ちだった。


幸弘たちが真琴を犠牲にしただなんて、考えたくなかった。


あたしたちはあんなに中が良かったはずだ。


こんな事になるハズがない!


だけど、目の前の現実を変えることはできなかった。


真琴の死体が視界に入るたびに、これが現実だと突き付けられているような気持ちになった。


「1人生贄がいたから、俺たちは襲われなかったんだな」


和希がカケルへ向けてそう聞いた。


カケルは大きく頷く。


「あぁ。だけどこれはその場しのぎにしかならない。時間が経てば奴らはまた襲ってくる」


「例えばその時にまた、1人生贄を捧げたらどうなる?」
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