蘇りのウタ
「なんてことだ」


俺は罠にそっと触れた。


これを外さないと前には進めない。


だけど刃が抜けた時に出血をするはずだ。


「こんな所に罠があるなんて」


創吾が舌打ちするのが聞こえて来た。


見るとイライラしているのがわかった。


こんな所でボヤボヤしている暇がないのは、俺だってわかっていた。


決断しなきゃいけない。


「乃愛、少し痛むけど我慢してくれよ」


そう言うと乃愛は小さく頷き、キツク目を閉じた。


俺は乃愛の足首にしっかりと噛みついている罠に手をかけた。


力付くでそれを開く。


乃愛が痛みに顔をしかめながらも、足を引き抜いた。


思っていた通り鮮明な血が乃愛の足から流れ出す。


傷口自体はそれほど深くなさそうだが、足首をグルッと一周するように傷が入っていた。
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