蘇りのウタ
「ごめんね幸弘」


しばらく歩いたところで乃愛がそう言った。


乃愛の額には汗の玉が浮かんできている。


怪我をしたせいで熱でも出て来たのかもしれない。


「なんで謝るんだよ」


「だって……」


乃愛はそこまで言い、口をつぐんで前を見た。


菜摘の背中が見えるが、俺たちとの距離は随分と離れている。


離れすぎないように気をつけて歩くのが精いっぱいだった。


「怪我したんだから、仕方ないだろ?」


「それもだけど……。でも、あたしが交通事故なんかに遭ったから、こんなことになったんだよね?」


乃愛の言葉に、一瞬にして事故現場の様子を思い出す。
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