蘇りのウタ
乃愛の体が大きく跳ねあげられ、地面に落下する。


真っ青な空に鮮明な血が吹き上げる。


「そんなのこと、気にすることじゃない」


俺はそう言い切った。


乃愛はこうして生き返ったんだ。


儀式は失敗したけれど、ちゃんとここにいる。


もう、それだけで十分じゃないか。


「死んだ人間を蘇らせることで、いろんな歯車が狂うこともあると思うよ」


乃愛の言葉に俺は大きな咳払いをした。


それ以上、ネガティブな言葉を言われたくなかった。


「乃愛は気にし過ぎなんだ。俺たちが乃愛を蘇らせたいと思ったから、その通りに行動しただけだ」


本当に、ただそれだけのことなんだ。


乃愛が気に病むような事じゃない。
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