蘇りのウタ
黒いファミリーカーが病院の裏手に停車して和希と創吾が姿を現した時には、心底ホッとした。


女子たちもそのタイミングで戻って来たので、俺たちは計画通り乃愛の体を車に乗せた。


「誰からも連絡が来ないように、みんなスマホの電源を落とすんだ」


車が走り出してすぐに創吾がそう言った。


みんな、無言で頷きあってその通りにする。


ずっと泣いていた菜摘も、今はもう覚悟を決めた顔になっていた。


「どこで儀式を行うんだ?」


和希が創吾にそう聞いた。


「儀式を行うにはひと目が付かないことが条件になる。良い場所を知ってる」


創吾がそう言うと、車を路肩へ停車してナビに何かを入力し始めた。


俺の知らない地名が表示されている。


到着時刻は夕暮れ時になっている。


ここから相当離れているようだ。


その方がいい。


乃愛との思い出が多過ぎるこの街での儀式は危険だ。


車は再び走りはじめ、車内には静かな沈黙が流れていた。
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