蘇りのウタ
乃愛も驚いた表情を浮かべている。


が、幸弘の言葉に反論する気はないようだ。


「それなら、やっぱりあたしはここに残るよ」


乃愛が冷静な口調でそう言った。


だけど、幸弘の狙いは別だった。


今の流れでこんな事を伝えるということは、カケルを殺すつもりでいるのだろう。


「……乃愛は俺たちの友人だ」


幸弘の気持ちをくみ取ったように創吾が言った。


「おい……ちょっと待ってくれよ」


カケルが青ざめたままあたしたちを見る。


あたしは咄嗟に視線をそらせてしまった。


申し訳ないと言う気持ちと、どうしようもないという気持ちがないまぜになっている。


ここでカケルの味方についてしまったら、次は自分が生贄にされてしまうと、みんなわかっていた。


それなら、外部者であるカケルを差し出す方がいいに決まっている。
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