蘇りのウタ
カケルを生贄にする提案は小屋の中で肯定される形になったはずだ。


「よせよ、やめてくれ……」


危険に気が付いたカケルがジリジリと後退していく。


「お前が蘇った者なら、これで骨人間は消えてくれるハズなんだ」


「だから、それは違うって言ってるだろ!」


俺の言葉をカケルが涙目で否定した。


ここでカケルを縛り上げておけば、しばらくは安全なはずだ。


俺はカケルに手を伸ばす。


その瞬間、カケルが弾かれたように走り出したのだ。


「待て!!」


声を上げてカケルを追いかける。


しかしカケルはまるで自分の庭のように早足で森の中を逃げて行く。


「捕まえろ!!」


創吾の声が森の中にコダマしたのだった。
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