蘇りのウタ
幸弘の願いは乃愛を蘇らせて、乃愛と共にこの森を出ることのはずだ。


それなのに、そんなに簡単に自分の命を犠牲にするなんて……。


「だけどその前に……」


幸弘がそう言い、あたしを見た。


その真っ直ぐな瞳に一瞬たじろいてしまう。


好きな人を守るために自分の命を犠牲にすると決めた幸弘は、今まで以上に強くなったように思えた。


「1つ、ちゃんと確認しておきたいことがある」


それはあたしへ向けられている言葉だった。


幸弘の目はあたしを捕らえたまま離さない。


あたしはその視線に金縛りにあったように、動けなくなっていた。
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