蘇りのウタ
だけど、返事をするには時間がかかり過ぎてしまった。


幸弘が落胆したようなため息を吐き出した。


「やっぱり、お前だったのか」


それはとても冷たい言葉だった。


怒りも悲しみも感じ取れない、ただただ冷たいだけの言葉だった。


好きな相手から何の感情も得られないというのは、こんなにも苦しいものなのだと初めて知った。


「歌詞を……ワザと間違えた」


これほど冷たい言葉を浴びせられたあたしは、もう嘘なんてつけなかった。


すべては終わってしまったんだ。


あたしの気持ちも、片想い中の長い日々もなにもかもが終ったのだと、理解した。


「なんて歌ったんだ?」
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