蘇りのウタ
「あたしは昨日死んでいたんだから、それが元に戻るだけだよ」


「ダメだ。乃愛、お前は生きるんだ」


乃愛の手を握りしめる。


その温もりを絶対に忘れないと、心に誓った。


「幸弘、なんでそこまでするの?」


「乃愛、お前は俺が死んで平気でいられるか?」


そう聞くと、乃愛は左右に首を振った。


「俺も同じか、お前以上に平気でなんていられない。きっと、俺の方が乃愛に依存していて、弱い存在だ」


「そんなことない!」


「乃愛、例えば俺が死んだとしたら、お前は儀式を行うか?」


その質問に乃愛は言葉を失った。


きっと、乃愛ならそんなことはしないとわかっていた。


乃愛は俺の死を苦しみながらも必死で乗り越えて行くだろう。


そこに蘇りの儀式という甘い誘惑を垂らされたとしても、決して手を出す事はなかったはずだ。
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