蘇りのウタ
香菜美の叫び声が止み、かわりに近くから人の足音のようなものが聞こえて来た。


思っていたよりも随分近くまで来ていたようだ。


俺は創吾を見た。


創吾は青ざめていたけれど、自分のやるべきことがわかっているように、強く頷いた。


やっぱり、創吾になら乃愛をまかせることができそうだ。


「香菜美、お前も行くぞ」


放心状態の香菜美の手を握り、創吾が歩き出す。


俺はその場に立ちつくし、3人の姿を見つめた。


きっと、もう二度と会う事はない、愛する人たちの後ろ姿を……。
< 220 / 245 >

この作品をシェア

pagetop