蘇りのウタ
☆☆☆

幸弘が乃愛をおんぶしながら歩いている。


あたしと創吾はその後をついて歩いていた。


森の出口もわからなければ、道もどこにあるのかわからない。


状況は骨人間に襲われる時と変わらず最悪なままだった。


けれど、みんなと一緒にいる時の空気は軽かった。


1人だけ異質だったカケルがいなくなったからか、いつもの雰囲気に戻っていた。


仲間がどんどんいなくなってしまったのに、そこ感覚が薄れていることに気が付いた。


「香菜美、やっぱり体調でも悪いんじゃないか?」


創吾にそう声をかけられたので、あたしは無理やり笑顔を浮かべた。


「大丈夫だよ。ただ、色々考えちゃって……みんなのこと」


「あぁ……。森から出たら早く助けを呼ばないとな」


「それはそうなんだけど……」


あたしはどう説明すればいいかわからなくて口ごもってしまった。


「とにかく、今は安全に森を出る事が先決だ。悲しい気持ちはわかるけれど、俺たちはまだ安全とは言い切れない」


創吾の険しい口調にハッと我に返る。


「俺の勘だけど、カケルはきっと蘇った者じゃない。カケルは生贄になるために、わざと戻って来たんだ」


小さな声でそう言った創吾に、あたしは驚いて目を見開いた。
< 227 / 245 >

この作品をシェア

pagetop