蘇りのウタ
「友達が川に落ちたんだ!!」


そう言い、川の中央あたりを指さす。


「川に?」


指のさされた場所を確認してみると、そこだけ流が早く、川の底も深くなっているようだった。


その近くには大きな岩があり、1人がその岩の上で釣りをしていたらしいと、すぐにわかった。


「ちょっと待ってて」


あたしはそう言うと、カバンを河川敷に置いた。


泳ぎには自信があった。


水泳部に入っているし、大会にだって出たことがある。


あたしは制服の上着を脱ぎ、靴を履いたままで川へと入って行った。


水はもう冷たくなっていて足先から冷えて行くのを感じる。


水をかき分けながら進んでいくと、川の中央あたりで浮き沈みを繰り返しながら流されている男の子の姿を見つけた。


「すぐに助けに行くから!!」


大きな声でそう言い、あたしは水に潜って泳ぎ始めたのだった……。
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