蘇りのウタ
「だけど、死んだ人間が蘇ったなんてことが起こると世界は混乱する。だから、人が蘇った時に、つじつまが合うように記憶が操作されるんだ」


「なにを言ってるの?」


香菜美が苛立ったような声を上げる。


「黙って聞けよ」


俺はそう言い、香菜美を睨んだ。


香菜美は渋い顔をしたが、言葉を続けようとはしなかった。


「儀式を行った人間と、蘇った人間にだけ記憶が残り、後の記憶はすべて書き換えられる。元々死んでなかったという風にな」


その言葉に、俺は何度も頷いた。


そうだ。


きっとそうだ。


そして儀式に参加した人間がいくら本当の事を言っても、きっと人は信じないはずだ。


だから、噂話の大切な部分だけ抜け落ちているんだ。


「とにかくさ、枝を探しに行こうよ。ここで1日明かすんでしょ?」


俺の期待を切断するように、香菜美が大きな声でそう言った。
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