蘇りのウタ
菜摘と真琴は青ざめている。


みんな、本当は儀式なんてやりたくないんだ。


話の流れでここまでついて来てしまったけれど、本当は嫌なんだ。


あたしは小指の爪を噛んだ。


どうにか儀式を止めさせることはできないだろうか。


幸弘が諦めるような事があれば、今からでも引き返す事ができるかもしれないのに……。


そう思った瞬間、ある考えが脳裏に浮かんだ。


それはとても残酷で、人として絶対にやってはいけない事だった。


だけど、その方法なら儀式をやめる事ができるかもしれない。


「あたし、先に戻るね」


手早く両手一杯の小枝を集めると、あたしはそう言って1人で広間へと戻ってったのだった。
< 41 / 245 >

この作品をシェア

pagetop