蘇りのウタ
「次は俺の番だ」


創吾がそう言い、幸弘の血を拭き取ったナイフを手に取った。


菜摘が泣きだしてしまった。


だけど、だれも慰めることができなかった。


創吾も手首を切り、軽く顔をしかめながら小瓶に血をためて行く。


「やだ……やだよ……」


真琴が左右に首を振って目の前の出来事から目をそらす。


それでも逃げようとしないのは、きっともう心のどこかでは覚悟を決めているからなのかもしれない。


あたしは真っ直ぐに創吾を見つめていた。


創吾はどうしてこんな儀式の事を言い出したんだろう。
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