蘇りのウタ
乃愛を蘇らせたいからと言って、こんな恐ろしい提案がよくできたものだ。


そう考えているうちに、ナイフと小瓶は和希へと渡っていた。


和希は幸弘や創吾とは違う。


ナイフを握る手がひどく震えている。


オレンジ色の光だからわからないけれど、きっと青ざめていることだろう。


幸弘はまた土下座をして額を地面にこすりつけた。


「頼む和希!!」


その声は涙でぬれていて、あたしの胸はズキリと痛んだ。


こんな風に頼まれたら断る事ができないと、幸弘は理解しているのだろうか。


和希の震える手がナイフを握りしめた。


腕の上の方に刃を押し当てて、そのままスッと横に引いた。


前の2人よりは浅い傷みたいだけれど、真っ赤な血がすぐに流れ出した。


和希は「うっ」と小さなうめき声を上げて傷口から視線を外した。


幸弘が慌てて小瓶で血を受け止めていく。


「早く、早く終わってくれ」


和希はキツク目を閉じて、そう呟いていたのだった。
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