蘇りのウタ
幸弘の目はずっと乃愛に降り注がれている。


優しくて暖かな幸弘の目。


生きていた頃も、死んでからも、それは変わらなかった。


あたしは乃愛の顔を潰してしまおうとした。


幸弘があたしに振り向いてくれることは、きっとこの先ないだろう。


そう思うとやっぱり胸が痛くて、あたしは奥歯を噛みしめてその痛みを我慢した。


どうしてあたしだけこんなに痛いんだろう。


乃愛がいてもいなくても、幸弘はあたしを見てくれない。


なんで、乃愛はそこまで幸弘に見てもらえることができるんだろう?
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