蘇りのウタ
そう思ったが、また乃愛の手が動いた。


今度はしっかりと、俺の手を握り返すように力を込めたのだ。


「乃愛……?」


名前を呼ぶと、今度は瞼が揺らいだ。


それは微かな動きだったけれど、俺は見逃さなかった。


「乃愛!!」


大声で名前を呼ぶと、乃愛がパッと目を開いた。


その瞳はしばらく虚空を見つめ、そして大きく息を吸い込む。
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