蘇りのウタ
☆☆☆

「このタイミングで車が壊れるなんてさ」


歩きながら、ふいに創吾がそう言った。


「あぁ。最悪だな。20キロも歩くなんて無理だ」


「そうじゃなくて、何か感じないか?」


そう聞かれて俺は首を傾げた。


「感じる?」


「嫌な予感っていうか、もしかして森の中に閉じ込められたんじゃないかとか」


創吾の言葉に俺は思わず森の中を見回した。


辺りは明るくなっているのに、1日中薄暗い森。


こうしてマジマジと周囲を見回してみると、薄気味悪い。


「やめろよそういうの」


俺は鳥肌を押さえるようにして両腕をさすった。


「悪い悪い。でもさ、俺知らなんだよ」


「知らないって何を?」


「失敗した時の事だよ。じぃちゃんはきっと儀式に成功した。だから、俺は成功した例しか聞かされてないんだ」


創吾の言葉の意味が一瞬理解できなかった。
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