蘇りのウタ
しばらく考えて、ようやく創吾が何を懸念しているのかが理解できた。


「もしかして、儀式は失敗したのか?」


「わからない。乃愛は蘇ったし、成功したんだと思う。だけどさ、失敗しても死者が蘇るとしたら?」


失敗しても死者が蘇る?


創吾は何を言ってるんだ?


俺は話しについていけなくて眉間を押さえた。


「儀式に失敗しても死者は蘇る。代わりになにかが起こるって考えてるのか?」


そう訊ねると、創吾は何度もうなづいた。


「そんな、バカな」


「車は動かなかった」


「そんなのただの偶然だろ」


「電波も通じない」


「こんな森の中だぞ? おい創吾、大丈夫か?」


不安になって訊ねると、創吾は真っ青になっていた。
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