向日葵に結ばれて
私は船に乗る直前、ホテルに大事なものを忘れてきたことに気づいた。

大事なもの…デッサンを描いたノート。
まさか、スタッフルームに置いてくるなんて。
てっきりバッグにしまったと思ってたんだけど。

私は取りに戻った。
だってノートがないと仕事にならないから。

そして、隣にいる男も追いかけて来た。
ホテルの鍵を持っていたのは彼だし、その時はありがたいと思ったんだけど…。


それがまさか、こんなことになるなんて…。
きっと私だけじゃなく、彼もそう思ってるに違いない。


船が出港する頃は、まだ天気は大丈夫だった。
次の船に乗ればいいかな、くらいに思ってたから。

ホテルに戻る直前、どしゃ降りになって、ふたりともびっしょびしょに濡れた。
幸いなことに、ここはホテル。
服が乾くまで、バスローブでも着てればいい。
タオルもある。
スタッフルームには非常食もおやつもあるから、食べ物にも困らない。





< 3 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop