向日葵に結ばれて
それでも、なかなか震えが止まらない。
手だけでなく、唇もガタガタ震えて、うまくしゃべれない。


「ど、どうしよ…」


「花穂」

隼人の声が優しい。
見上げると、隼人は目を細めて私を見ている。

整った顔が徐々に近づいてくる。

隼人。
近いよ。

そう思った瞬間、唇が重なった。
私は目を開けたまま、固まって動けない。

あれ?
これってキスされてる?

唇が離れたと思ったら、今度は角度を変えて、深く唇が重なった。

足に力が入らない。
隼人に掴まっていないと、崩れ落ちそう。


「震え、止まったな」


「う、うん…」

驚きすぎて、いつの間にか震えは止まっていた。
もしかして震えを止めるための作戦?
それでもこれ以上はマズイよ。


「隼人」

私はなんとか両手に力を入れて、隼人を押し退けようとする。
でも力の差は歴然で、私なんかが敵うわけない。


「逃がさない」

隼人のその一言で、これ以上はマズイっていう制御が吹き飛んだ。
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