身代わりの姫
「私の姫のご機嫌はいかがかな?」
笑顔でそう問いかけるジルベールに、悪くないですわ、と答えた。
「これは、しばらくバルテモン国まで付き添う侍女のコゼットです」
ドレスの裾を直していたコゼットが、頭を下げると
「よろしく頼むよ………しばらくって?」
コゼットに言ってから、私に聞いてきた。
「一生というわけにはいかないと思いまして………」
「姫の好きにしたらいい。
バルテモンにもたくさんの侍女がいる。気が合う者もいるだろう………
それにしても………お前は、美しい………」
クスっと笑ってしまった。
「ありがとうございます。王子も男らしく素晴らしいですわ」
「………当たり前だ。そうやって笑っていろ」
その時、知らない男性がドアを開けた。
「時間です」
「あれは、俺の側近のガストンだ」
王子の紹介に笑顔で、よろしくお願いします、と言うと、丁寧に一礼して、早く出るように、とドアを開けていた。
腕をとるように、というジェスチャーに気付き、ジルベールの腕をとって外へ出た。
外では、パレード用の豪華な馬車があり、ドレスを踏まないよう気をつけながら乗り込んだ。
街中を通ると、たくさんの人が、沿道で手を振ってくれる。
「皆、喜んでいるのか?」
「そのようですわね」
顔を寄せ合って話していると、膝の上の手を握られた。