身代わりの姫


広くて厚い胸。

安心する。


「あなたは……ジルは………」


顔を上げられて、キスをされた。
軽く唇をついばむと離れた。


「………愛してる………俺のそばで笑っていてほしい。

できるなら、国を一緒に盛り上げてほしい………

俺がお前を望んだのだ」


「………船のところで会う前に、どこかでお会いしていましたか?」 


「あの時が初めてだ。
キレイな姫が、隠されて育っていると聞いていたから、興味はあった。


政略結婚のように申し出て、済まなかった………」


それは、リリアのことだ。


「……縁があったと、思っています」


そう、あの時会ったのは、私。

これは、縁なのだわ。



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