身代わりの姫
ジルがベッドに転がると、その横に布団をかけて転がった。
「バルテモン国の王は、お妃は何人なの?」
「側室を持つことはできる。
親父は、母しかいないし、俺も持つ気はない。
跡継ぎができなければ、周りに勧められるだろうけどな」
跡継ぎ………子供、それも男の子が出来なければ、側室に………。
何故か胸がざわついた。
それを胸の奥に閉じ込めた。
「そう………王宮があるの?」
「いや、城、だな。会議や謁見する部屋、執務室、大広間が正面に見える城にあり、王太子の俺は、東の館、王は、中央の館、妹は、西の館に住んでいる。
全部回廊で繋がっている」
「ジルは…………何歳なの?」
アハハハ、と笑いだした。
「知らなかったのか?俺は22歳だ。誕生日は7月○日。
もっと俺のことを知ってほしい。
バルテモンの軍事力はここよりも大きい。
非情に見える時もある。
だが、民を守り、国を豊かにしたいと思っている。
乗馬を好んでいると聞いた。
お前に、馬を用意している。
時には一緒に走ろうぞ」
「楽しみにしてますわ」
ベッドの中で強く抱きしめられて、おやすみなさい、と囁くと、腕を離されて、眠りに落ちた。