身代わりの姫
会食を終えて、ホールで王と王太子と抱き合うと、涙が溢れた。
「お父様、お兄様、ありがとうございます。
………幸せになろうと思います」
後ろに控えている王女の護衛隊長に手を差し出すと、手を取ってひざをついた。
「今までの任務、感謝しています」
「お元気で………」
手を離すと、隣りにいたマアサを抱きしめた。
「ずっとずっと、ありがとう。これからもこの王家を頼みます」
「妃殿下、お幸せに………」
目を潤ませて、マアサが答えた。
玄関まで並んでいる侍女や護衛隊を笑顔で見回した。
「お母様………お元気で……」
「あなたも………体には気を付けて………ね」
ジルと一礼をして、玄関に向かった。
玄関を出る時、振り返って頭を下げた。
ドアが、閉まると、肩を抱かれて、国賓館まで行った。