身代わりの姫


部屋に入り、ジルと二人になると、抱きしめられた。



「寂しいのか?」


「………いえ、大丈夫………」


「頼むから、一人で泣くな………」


額に優しくキスをして、体を離されると、ベルを押して侍女を呼んだ。



「入浴を……」



侍女と共に浴室に行き、入浴を終えて戻ると、既に入浴を終えたらしいジルがソファーでお酒を飲んでいた。


ジルの隣に座ると

「飲むか?」

飲みかけのグラスを持ち上げられた。


頷いて、一口飲んだ。




「なんだか、疲れたわ」


「そうか」


手を引かれて、ベッドまで行くと、キスをされた。



「眠ろう。明日は国へ帰る」


ベッドに横になった。



国へ帰る………ここは故郷であって、私の国ではないと、知った。







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