身代わりの姫
返事をする前に、手を引かれ船内を一緒に歩く。
ここは侍女の部屋、親衛隊の部屋、とドアの前で説明される。
コゼットもここにいるのか?
そう思ったが、何も聞かなかった。
厨房や兵士の部屋は地下にあると言い、一番奥のドアを開けると、豪華なテーブルとソファーが見えた。
「ここが俺の部屋。狭いけどな、こっちが寝室だ」
室内のドアを開けて中に入るとベッドとチェストがあった。
「まあ、何日も泊まることがあるのですか?」
「時には、な」
そう言って、抱きしめられた。
悲しい顔をするな、そう言ったジルは、レオとエルザを見た時、シリルを見た時の私を見ていたのかもしれないと、ふと思った。
「バルテモンでは、俺は忙しいこともある。
でも、そばにいてほしい……」
キスを受け入れた。