身代わりの姫
それからの日々は、勉強も訓練も張り切って早く終わらせて、シリルと過ごす時間を少しでも作った。
ある日、シリルの部屋に、書類を持っていく口実に、部屋に上がり込んだ。
16歳からは一人部屋になっている。
「水、飲むか?」
「うん。なんか、シリルの部屋にいるって変な感じ」
そう言ってベッドにダイブした。
「何やってんだ?」
シリルがベッドに座ると、抱き起こされ、そのまま抱きしめれた。
「ん?シリル?」
少し見上げると、近くにシリルの顔がきて、反射的に目を閉じた。
唇に温かいものが触れた。
初めてのキスだった。
しばらく抱きしめてくれたことが、安心感を与えてくれる。
ずっと、こんな日が続けば良いのに、と心から願った。