身代わりの姫


式の日は朝から、聖の間と言う場所で甘い匂いのする湯に浸かり、体を清め、ドレスの下着を着けた。

髪をアップにして、この国の花嫁衣装を着る。


シンプルなドレス。

肘上までの袖に首は丸い襟元で勲章を下げるのは同じ。

スカート部の裾は靴の先が出る長さで、厚めの生地の上にレース生地が重ねられている。


ティアラを乗せて、最後にイヤリングを付け、衣装担当の侍女が下がると、コゼットが後ろにきて鏡越しに話しかけてきた。


「リリア様、おめでとうございます。
私達も喜んでいるのです。

どうか、お幸せに……私達に何なりと御用を申し付けください」



「ありがとう、これからもよろしくね」


コゼットの後ろの侍女達が頭を下げた。



「では、聖堂へ参りましょうか」


立ち上がり、コゼットの手を取って歩く。



聖堂の前では、軍服にマントを着けたジルが、待っていた。





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