身代わりの姫
テラスの椅子に座って、考えていると、ジルが出てきた。
「馬を、見に行くか?」
「はい」
「着替えて行こう」
乗馬が出来そうな服は一着だけだった。
着替えて2人で厩舎に行くと、ジルが馬を2頭引いてきた。
「この馬は、リリー。お前の馬だ」
手綱を持つと、よろしく、と馬の顔に頬を寄せた。
馬に跨り、歩かせてみると、ポコポコと歩いた。
走るように脇を叩くと、ザッと走り始める。
早朝の城の裏山を走る。
風が気持ち良い。
ジルがついて来いと、腕を挙げて抜かしていき、その後に続いた。
着いたのは、穏やかな小川がカーブしている場所だった。
杭に馬をつなぎ、小川が見える大きな石に座ってジルを見た。