身代わりの姫
部屋に戻ると、入浴を済ませた。
「妃殿下のお好みはわかりませんけど、厨房からおすすめのお酒をもらって来ました。
ゆっくりできなかったでしょう?
はとこなんて、親戚でもあり、他人でもありますから」
「側室ねらい?」
「詳しい事はわかりませんけど、あの見た目と王太子とイウ立場は、魅力的に見えるんでしょうね。
……いえ、魅力的なんですよ、すみません、ただ、私の好みでは………」
「フフフ、素直ね。どんな人がタイプなの?」
そう聞くと、ええ?と言いながら、理想を話し始めたボンの、なんだか幸せそうな表情に楽しめた。
「あの、殿下が最高の方だと思いますが、若い時好きなタイプっておられましたか?
いや、やっぱり殿下が理想ですよね?」
「理想、なんて分からないけど、優しくて誠実な人は友達にしても、ついていく人にしても素敵なんじゃないかな?
ジルベール王太子は、みんなから見てどう?」
「畏れ多いですけど、芯のしっかりした方だと思います。
リリア様とご結婚されるって聞いて驚きました。
でも、今は、リリア様で良かったと思いますわ」
「ありがとう」
何故私で良かったのか分からないけど、素直に嬉しかった。
「そろそろ、寝られますか?」
「そうね、ご苦労様、コップも下げてくれる?」
「はい、おやすみなさい」
帰りを待つ気にならなかった私は、広いベッドで一人で横になった。