身代わりの姫


部屋に戻ると、入浴を済ませた。


「妃殿下のお好みはわかりませんけど、厨房からおすすめのお酒をもらって来ました。

ゆっくりできなかったでしょう?

はとこなんて、親戚でもあり、他人でもありますから」


「側室ねらい?」


「詳しい事はわかりませんけど、あの見た目と王太子とイウ立場は、魅力的に見えるんでしょうね。


……いえ、魅力的なんですよ、すみません、ただ、私の好みでは………」


「フフフ、素直ね。どんな人がタイプなの?」


そう聞くと、ええ?と言いながら、理想を話し始めたボンの、なんだか幸せそうな表情に楽しめた。



「あの、殿下が最高の方だと思いますが、若い時好きなタイプっておられましたか?


いや、やっぱり殿下が理想ですよね?」


「理想、なんて分からないけど、優しくて誠実な人は友達にしても、ついていく人にしても素敵なんじゃないかな?


ジルベール王太子は、みんなから見てどう?」


「畏れ多いですけど、芯のしっかりした方だと思います。

リリア様とご結婚されるって聞いて驚きました。

でも、今は、リリア様で良かったと思いますわ」


「ありがとう」

何故私で良かったのか分からないけど、素直に嬉しかった。



「そろそろ、寝られますか?」


「そうね、ご苦労様、コップも下げてくれる?」


「はい、おやすみなさい」


帰りを待つ気にならなかった私は、広いベッドで一人で横になった。



< 135 / 279 >

この作品をシェア

pagetop