身代わりの姫


少し眠って、目が覚めると、薄っすらと朝日が差していた。


まだ、暗い。


でも、頭が冴えている。
ジルがいなかったから、なのかもしれない。


シュリベルト国から、持ってきた指輪をはめて、短剣と櫛を布に包んで上着に入れた。


そのまま厩舎へ向かった。



リリーを見つけて、連れ出した。



乗る前に、顔を撫でて頬擦りをした。


ジルと来た小川で少し休憩して、なんとなく西の方に走った。


早朝だからか、柵が開いていた。



柵を抜けると、道が続いていた。



道に沿って走ると、港が見えた。



その手前で、馬を泊めた。


シュリベルトから乗った船がタラップを降ろしている。


そこから、降りてくる数人の顔を見て、ドクリ、と胸がなって、血の気がひいた。



ジルと従兄弟や、はとこ達だった。




リリーの手綱を操り、今来た道を戻って、城の中の、小川で馬を止めた。




馬を降りて、寝転んだ。










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