身代わりの姫
スープだけをゆっくり飲んでいると、ジルが戻って来て、朝食を食べ始めた。
朝までどこで何をしていたか、言わないし、聞かない。
私は、ここで飾りだけの王妃に、なる………?
それも良いかもしれない。
リリアには、耐えられなかっただろう。
私はアリア………。
「明日は近隣の王太子とのパーティーだ。
今日から城はバタバタしている。
お前は明日のパーティーと明後日の謁見だ。
大丈夫だな?」
「はい」
思ったよりハッキリと返事ができた。
「俺は仕事に行く」
立ち上がったジルを見送ろうと立ち上がると、手を引かれて抱きしめられた。
「何かあったか?」
胸が苦しい。
「………いえ……」
「何か言いたいのか?」
やっぱり胸の奥が何かにつかまれる感覚。
「………いえ……行ってらっしゃいませ」
「………お前は………」
俯いていた私の頭頂部にキスをして、部屋を出ていった。