身代わりの姫
「元気か?」
「はい、お兄様も?」
「何も変わらないよ、両親も元気だ。レオ様もな」
久しぶりに兄の笑顔を見て安心すると共に、なんとなく自分の今の状況に引け目を感じた。
「良かったわ、お兄様、ちょっと食べ物を取ってきて?」
はぁ?分かったよ、とテーブルの食べ物を見繕って持ってきてくれた。
「ありがとう、お兄様の顔を見たら、食べたくなったわ、しばらく相手してよね」
笑いながら、食べ始めると
「シュリベルトとは、空気がちがうな。
みんな。朗らかで優しいが、どこも鉄の匂いがする。
軍事力は大きいだろうな」
「そうなのかな?どこに泊まるの?」
「近くの宿泊施設だよ………護衛隊も来てる」
シリル………
「皆さんによろしく伝えてください…………」
その時、声が響いた。
「宴も酣ではありますが、そろそろお時間です。
ジルベール王太子殿下、妃殿下、こちらに」
ドレスの裾をコゼットが直しながら、ドア付近まで移動して、土産の箱を一人ずつ渡し、解散となった。
部屋でドレスを脱いで着替えると、ジルが入ってきて、まだ宴が続くので行ってくる、と言って、軍服からブラウス調のシャツとパンツに着替えて出て行った。