身代わりの姫


「昼食は城で済ますつもりかしら?」


「どうでしょう?」


「お腹も減るし、先に食べましょうか?」


「もうしばらく………」


ガストンが言ったが、ここでずっと待つのも嫌だった。



その時、腕を組んだ王と王妃が近付いて来るのが見えた。



立ち上がると、東屋に入って来た王が言った。



「何やら楽しそうな様子が見えてな……ジルベールは一緒ではないのか?」


「いえ、一緒の予定だったのですが、急な来客でお城の方に……」


そう言うと驚いたような王が

「客?誰じゃ?」

と聞いた。


「フルー様ですわ」


はぁ、と大きなため息を、ついて腰を下ろした王が言った。


「昼飯か?食べよう。そなたの名は?」

「私付きの侍女のボンですわ」

「ボンもガストンも一緒に食べよう。ワシが許す」


ボンがサンドイッチを広げ、王と王妃がたべ始めると、私達もいただいた。


ほとんど食べた頃、王が立ち上がり


「助け舟になって来よう、リリア、嫌な思いをさせたな、悪かった」

「いえ……」


そう言うと、付いて来ていた兵士を一人連れて城の方へ歩き去って行った。







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