身代わりの姫
馬車が止まると、大きなトランクが下ろされ、ジルに続いて降りた。
ここは、山?
木で出来た、大きな家の前に、中年のふくよかな夫婦が立っていた。
「ようこそ、王太子、妃殿下。中へどうぞ」
「久しぶりだな、マットにシーラ。
夕飯まで頼む。朝は何か食えればいいから」
「分かりました。ともかくお茶を……」
テーブルも木を切って作ったことが分かる。
お茶をいただいてから、二階の部屋へジルと行くと、ベッドだけはやたらと大きい部屋があった。
個室は他にもあるようで、ドアが他に3つあるのが見えた。
荷物を椅子に置いて、中をゴソゴソしていたジルが巾着袋を投げてきた。
温泉に行くぞ、そう言うと部屋から出ていったジルを追いかけた。