身代わりの姫
本当に帰って行った………
まぁ、離れた所にきっと兵士はいるのだろうけど。
建物の中に、侍女も兵士もいない、なんてここでは初めてだった。
テーブルに肘を付いていたジルがクックッと笑っていた。
「今ならお前に暗殺されても、バレないな」
「それは、私も同じです」
「だから、だよ。信頼できる者しかここには、連れてこない」
そう言えば、そうだわ、と納得した。
暖炉の前の肘掛け椅子にジルが、移動したので、椅子の横の床にクッションを置いて座った。