身代わりの姫

「シュリベルト国の王女の噂は昔から聞いていた。

成人するまで謁見も無く、王宮の奥で大切に育てられている、と。


かなりの美人だ、と聞いたのは、謁見した誰かだったかな?

俺はそんな機会にも恵まれず、しかも、シュリベルト国の元兵士が騒ぎを起こして、軽く攻めて丸く収めてこい、と命令を受けた。

嫌われ者になりに行くなら、強引に姫と会ってやろうと決めた。

条約の最終確認に、王太子と王女を呼び出した。

馬車からも下りてこないお前を引きずり出して、無理やり2人になった。

でも、王女はキリッとしてちゃんと物事を考えていた。

王宮での食事会は、つまらなかったが、体調が悪かったと聞いて、迷った。


それでも、父上に結婚させろ、と詰め寄って、できるならしろ、と言われて、それもまた強引に結婚した。


悪かった、とも思うから、何も知らないまま抱くのもかわいそうだと思っていた。

最近は忙しくて、結婚しても、分かり合える時間もなく、このままでは、俺の前で笑わなくなるんじゃないかって不安になった」





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