身代わりの姫
カーテンから漏れる光に、目を覚ました。
隣でまだ眠っているジルを見て、顔を触った。
立派な顔、筋肉質の体。
鼻筋を擦っていると、何してる?と呟いたジルにパッと手を離した。
片手で手首を捕まれ、もう片方の腕を腰に巻いてギュッと密着させられた。
「起きましょ?」
「まだ早い………そうだな、温泉に行こうか」
サッサと身支度を終わらせたジルに急かされて適当に服を着た。
馬に乗ると昨日まで無かった違和感がある。
「大丈夫か?」
「………」
「後ろに乗るか?」
ジルの後ろの荷物をおいた上に乗った。
「素直だな?」
クックッと笑うジルから顔をそむけて
「……早く行きましょう」
と言うと分かったよ、と馬をゆっくり走らせた。