身代わりの姫


船で6時間ほど。


少し眠ったり、ジルと甲板に出て遠くの国の話を聞いたり、軽く食事をしているうちに、あっという間に着いた。


シュリベルト国の大きな宿泊施設では、各国の王太子や妃も来ていて、警備が厳しくなっていた。


私達は先々代の王の叔父がかつて住んでいた館が改装された宿泊施設に泊まる。
王宮の近くで新しく綺麗な内装になっており、他の国の人達も様々な離れのような建物に泊まる。



翌朝、ジルが視察に行き、私は王宮からの迎えの馬車に乗った。


王妃が、ホールで待っていて顔を見るなり駆け寄ってきて、抱きしめられていた。


コゼットも侍女仲間との、再会を喜んでいる。


「元気そうで………幸せそうで良かったわ。

お茶を飲みましょう。後宮に行きたいのでしょう?

マアサ、お願いね」




「分かりました」


涙を拭ったマアサが、穏やかに微笑んだ。


後宮の応接室で王妃と昼食をとり、聞かれるがままに色々なことを話した。


食事を終えると


「お召を……」


マアサが用意してくれた服に着替えて、行ってきます、と言うと本棚を開けてくれた。


そう、レオの所に行きたかった。


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