身代わりの姫
見送りに手を振って、宿泊所に戻り、ガストンの命令で、念の為、危険なものがないか荷物を開けた。
見事にお菓子が多く、笑ってしまった。
あとは、見たことのない、布やレース、糸もあった。
「何か作る趣味でもあるの?」
「いえ、新しく開発された布のようで、リリア様に新しい服を作ってほしいと。
日焼けを予防したり、暑さを抑えるそうですわ。
輸入となると大事だから、とりあえず、プレゼントだそうです。
ダメでしたか?」
最後は伺うようにジルを見上げて聞いていた。
「いや、構わない。しかし、良いとなれば輸入する」
「ありがとうございます」
丁寧に頭を下げて言ったコゼットにクスっと笑った。
「では、まだ私の傍にいてくれるのね?」
「はい、よろしくお願いします」
「それにしても、少しまとめて荷造りしろ」
ジルの言葉にはい、とコゼットが頭を下げた。