身代わりの姫
ジルが出ていったあと、念の為、と特殊な革でできた肩から下げられるバッグに、残せないものを入れた。
あの子がくれた鉛筆は役に立つわね、と思い出しながら入れていく。
指輪、櫛型の剣、扇子、書簡箱、紙と鉛筆。
唯一持って来た私服もいれた。
そのバッグを寝室のカゴに入れて、上からタオルをかけてガウンを入れた。
リリアが剣を習っていたはずはない。
コゼットには、バレたかもしれない。
その時は正直に言おう、そう覚悟をしたが、特に何も言われなかった。