身代わりの姫
封書を渡された。
それをペーパーナイフで切って開けた。
『リリア、無事でいるか?
この先、有事があることは、間違いないだろう。
シュリベルト国はバルテモン国に攻撃をすることはない。
ただ、バルテモン国は狙われやすい国だ。
有事が起った時には、速やかにシュリベルトに避難しなさい。
シリルを遣わせているから、今日にでも戻れば良い。
今日、戻らないということであれば、バルテモン国の近くに船を待機させる。
必ず、頼りなさい。
シュリベルト国王 バスティアン・シュリベルト』
顔が強張った。
「お父様………」
手紙を、ジルに渡した。
手紙に目を通したジルが、顔を上げた。