身代わりの姫
ある年の冬、シュリベルト国では、王妃が第二子を懐妊したと発表され、国民は、喜んでいた。
それでも1番喜んでいたのは、国王だった。
あと三月ほどで出産を迎えるころ、王妃の診察を終えた医師が、部屋の外で待っていた王の前へ行き、頭を下げた。
「順調なのか?」
王の言葉に、頭を下げたままの医師が小声で言った。
「秘密を守れる方を交えて、ご報告が……」
「……ならば、半時後(30分後)ここで。
今しばらくエリアについていろ」
頭を下げた医師を置いて、側近を引き連れて王は部屋を出た。